December 16, 2008

鬼無里(長野市)の水道事情(その1)

早朝−2℃。月の明るい朝。

昨日、水道管は民地(ソノマノの土地)のハズレに達しました。
つまり、ハバ〈崖)を掘り進みそこまで埋設完了しました。
使えるようになったトイレはまだ未完成ですが、配管の都合上、男子トイレの床張って(コンクリートで。以前の大便器のあったところに作るため)穴を塞ぐ作業や、そろそろ外で使うのが厳しくなってきた洗濯機置き場の仕上げにかかっています。図面もなく、その場でその時々に仕様を決めていくので効率が良いのか悪いのか、なかなか思ったようにはかどりません。が、このところの暖冬傾向に非常に助かっています。
そもそも、この時期にこれをやっているハズではなかったのですが。
水周りの工事遅れに遅れた理由のひとつに市の体制があります。

鬼無里は平成十五年に長野市になりましたが、村の時代にほとんどの家庭で、水道関係の工事は一応完了していたようです。上水に関しては村営水道を引きたい家庭には引き込みを済ませ、下水に関しては下水道の通っているところではそれに接続を済ませ、無いところでは合併浄化槽の設置を済ませていたということです。
どうも、このあたりのインフラ整備に関しては村の時代の方が手厚く、村民はそれを知っているので、市になる前に希望する家庭はすべて終わらせていた様です。
事実、その時代では加入金だけで(!)家の脇まで水道管を。引いてくれたそうです。今は、本管までどんなに距離があろうともすべて私費で(!)工事をしなくてはなりません。

浄化槽を設置する際にも鬼無里では久しぶり(市にはって初めて)の設置だと言っていたし、市営水道〈かつての村営水道)の申し込みに対しても市になって初めての申し込みだったらしく、支所(かつての村役場が鬼無里地区の長野市役所の支所となっている)の担当者が対応が良く分からず、本所に問い合わせるといった場面が幾度とありました。で、結果手続は非常に煩雑になり、手間と時間が必要となりました。
つまり、賢い村民の選択は間違っていなかったということです。

浄化槽についての考え方がここではちょっと面白く、一般的な認識では、浄化槽は個人の持ち物ということで、個人の管理で使用するというものだと思います。が、ここ鬼無里では、これは村の(市の)所有で使用者が使用料を払い、管理運営は村が(市が)行うというものです。
これは、下水道の設置が困難な地域において、それの代替えのサービスと位置づける考えによるものだと思います。
多くの自治体で浄化槽の設置は補助金を出して奨励していますが、実は、維持管理が結構大切で、それにも費用がかかるためそれを怠っている使用者が多くいると聞いています。そうなると、最悪の場合、汚水は全く浄化されず垂れ流しになります。生活排水が流れ出るだけなら設置以前とそう代わりはありませんが、トイレの排水まで垂れ流しとなれば浄化槽設置以前の方が環境的にはマシということになります。
鬼無里でのこの制度を聞いたとき画期的だと思いました。面倒な維持管理を任せられれば浄化槽は常に良いコンディションで運転され、水質汚染を最小に押えられます。鬼無里はこの制度の先駆けだそうです。
ちなみに浄化槽の処理能力は下水道の下水処理施設のそれとほぼ同程度ということで、90%以上だと聞いています。

今その使用料について鬼無里の住民が揺れています。

つづく


(関係ありませんが、一昨日の妖麗な月)