May 28, 2009

おばすて山

鬼無里から車で1時間半くらいのところにある、姨捨山(おばすて山)ヘ行きました。
観光に行った訳ではないのですが・・・。

こちらに在住の機織り職人の[まつ]さんに、以前、戸隠から機織り機の様な機械(道具)を持ってきたのだけど実は麻の「撚り機」と「合わせ機」だった。との話を聞き、不要だというので取りに伺うと約束をしていたのです。
それが今日で、昼頃姨捨に着きました。
「姨捨」なんと印象的な名前でしょうか。鬼無里より強烈? 映画「楢山節考」の舞台になった地だそうな。

 
(まずはここ長楽寺で待ち合わせ)


普段間近の山々に囲まれた鬼無里にいて、この開けた風景はいったい! 田毎(たご)の月とは? 
予備知識の全く無い状態でここに来てあまりの名所ぶりに思わず観光気分に。


(真ん中の山の間から月がでるらしい 専用の?茶室もある
それにしても絶景)


この長楽寺、屋根が珍しく板葺き。ソノマノの舎もかつては板葺き。鬼無里でも板葺きのまま残っている家は皆無。これまた思わず見入ってしまいました。

[まつ]さんに会い早速その機械を見せていただきました。程度も然程悪くなく使えそうです。車に積み込むと、ちょうど今バーベキューをやっているそうで、一緒に誘われて、、、、すっかり御馳走になりました。
絶景を見ながらのバーベキュー。それも平日。天上の世界にいるようです。下界では皆せわしく働いてるんだろうな〜。なんて思いながら。


([まつ]さんの工房 これまたいい雰囲気
窓からはもちろん絶景)


こんな天上の地にいながら実はすぐ上に線路があり、駅があるそうな。篠ノ井線「姨捨駅」。案内してもらいました。


(踏み切りも無いところ平気で・・・みなそうしてるらしい)


(もちろん駅からも絶景 棚田がきれい)


(よってベンチも後ろ向き)


(かわいい駅舎 無人駅
この駅は今では珍しいスイッチバック、
つまり、この駅につくと必ず反対方向に出発します)


ここには棚田が沢山あります。何でも、「全国棚田百選」に選ばれているらしい。見事な昔ながらの棚田です。鬼無里にももちろんありますが、耕地整理されていたり、止めて荒れていたり・・・。きれいに復活させたいな。

再び線路を渡ろうとした時、小さく「チン・・チン・・」と線路がなっています。と、まもなく列車が目の前を。。




「絶景の山中」「線路」「現代日本」がどうにも頭の中で結びつかず・・・
桃源郷のような世界に彷徨い込んだ一日でした。

それにしても、美味しいバーベキューごちそうさまでした。

鬼無里にも実は鉄道が通っていたかもしれませんでした。
「善白鉄道」。長野(善光寺)と白馬をつなぐ鉄道。
戦争で無くなりましたが、長野から途中まで開通していたそうです。よくみると車の車窓からでもその時のトンネルなど見ることが出来ます。これが出来ていたら鬼無里はどうなっていたかな。


姨捨の民話、興味のある方はどうぞ。

【姨捨山(おばすてやま)】(長野地域)

 昔、年よりの大きらいなとの様がいて、「60歳になった年寄りは山に捨てること」というおふれを出しました。殿様の命令には誰もさからえません。親も子も、その日がきたら山へ行くものと諦めていました。

ある日のこと、一人の若い男が60歳になった母親を背負って山道を登っていきました。気がつくと、背中の母親が「ポキッ、ポキッ」と木の枝を折っては道に捨てています。男は不思議に思いましたが、何も聞かずにそのまま歩きました。

年寄りを捨てるのは深い深い山奥です。男が母親を残して一人帰るころには、あたりはもうまっ暗闇。男は道に迷って母親のところへ引きかえしてきました。

むすこの姿を見た母親は静かに言いました。「こんなこともあろうかと、途中で枝を折ってきた。それを目印にお帰り」。子を思う親のやさしい心にふれた男は、殿様の命令に背く覚悟を決め、母親を家につれて帰りました。

しばらくして、となりの国から「灰で繩をないなさい。できなければあなたの国を攻める」と言ってきました。との様は困りはて、だれかちえのある者はいないかと国中におふれを出しました。男がこのことを母親につたえると、「塩水にひたしたわらで繩をなって焼けばよい」と教えられ、男はこのとおりに灰のなわを作り、殿様にさし出しました。

しかし、となりの国ではまた難題を言っていました。曲がりくねったあなの空いた玉に糸をとおせというのです。今度も男は母親に、「1つの穴のまわりに蜂蜜を塗り、反対側の穴から糸を付けたアリを入れなさい」と教えられ、殿様に伝えました。 すると、となりの国では「こんな知恵者がいる国と戦っても、勝てるわけがない」と攻め込むのを諦めてしまいました。

殿様はたいそう喜び、男を城によんで「ほうびをとらす。ほしいものを言うがよい」と言いました。男は、「ほうびはいりません。実は・・・」男は決心して母親のことを申し上げました。

「なるほど、年寄りというものはありがたいものだ」と、殿様は自分の考えが間違っていたことに気づき、おふれを出して年寄りを捨てることをやめさせました。それからは、どの家でも年おいた親と仲良く暮らせるようになりました。


※この枝を折る「枝折り」が「栞(しおり)」の語源だそうな。
Posted by sonomano at 21:30:00 | from category: | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks
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