February 20, 2011

鹿を食う


かつてから有害獣の話題はたびたびとり取り上げてきました。
それらに被害が田畑をに及ぶの原因は、山村の衰退による個体数の増加のため。
それならば獲って減らしてしまえ、といっても、今度は猟師がいません。
ますます増える被害に農業に見切りをつける農家も。田畑が荒れればますますそれらは闊歩します。
そんな悪循環を打開する手だては今のところありません。
せめてそんな現状を多くの方に認識してもらい、すべての国民共有の問題となってくれればきっといい解決策も出てくるのかもしれません。(もし山を人が放棄すれば、里に(街に)進出してくるのは必至です)

そんな現状を解決させるためのほんの一歩として、しかの解体作業を手伝わせていただきました。
場所は鬼無里と山続きの七二会(なにあい)。
そこで活躍する若い猟師の獲物の鹿をさばくというもの。



(解体に使うナイフ類)


ちなみに、2009年に長野県で捕殺されたニホンジカは1万8700頭で、そのうちいわゆる正式なルートで食肉として流通したのは1300頭と言われているそうです(県の説明によれば)。
では残りの1万7400頭はどうなったのか。
たぶん自家消費されたものが大半だと思いたいところですが、廃棄されたものも・・・・。
いくら有害獣とはいえ人の都合で殺生したものです。食ってあげなければ。

・・・・・・・・・・・

感想は、あまりに抵抗無くナイフが振るえたということ。
皮を割き、肉をとり、関節にナイフを入れ骨をばらす。時には斧を振るいます。
なぜこんなに素直に受け入れられたのか不思議です。
素人ゆえ、あまりの手際の悪さに時間がかかり、そこにあったすべての頭数にナイフは入れられませんでした。
それが終わると、今度は、とりだした肉の洗いをします。実はこれが大変。キレイに水洗いしながら、ゴミを取り不備を整えます。


(必要は部位を取り除いた残りはすべて可燃ゴミに・・・
山などに投棄するのは違法なのだそうです・・・山に戻すだけなのに)


なぜ、食肉として流通できないのか。その理由は、食肉加工場で解体された肉でなければ流通させてはいけないという法律(食品衛生法)があるためです。
ならば、獲った個体をそこに運び込めば・・・と思いますが、内蔵を含んだ個体でなければ持ち込めないのだそうです。
ならばそうすれば・・・と思いますが、内蔵が入ったままであればすぐ傷んでしまいます。味も落ちます。それに、山中から運びだすのにあまりに重いものは無理です。すぐには運び出せません。
と、全く現実を無視した法律に阻まれています。

猟師(ご)さんは鹿のもも肉をすべてハムに加工してもらっています。とてもおいしい本物のハムですが、前述の理由で流通させられません。全部持ち出しで、ボランティアで子供達などに振る舞っているのです。
世に流通する普通のハムは、400gの肉から500gのハムが出来るのだそうです。
ところがきちんと作った(ご)さんのところのようなハムは500gの肉から400gのハムにしかならないのだそうです。


(頂いた前脚部分、出来るだけ丁寧に肉をとり・・・
骨でダシをとってみよう)


とった獲物が流通出来なければ猟師はやっていけません。
せめてお手伝いして、その肉を噛みしめてみたかった。それが、獲物のため、強いては世のためになると信じて。


お昼に、七二会のみなさんに振る舞っていただいた「蕎麦せんべい」香りがあってうまかったー。七二会産の蕎麦100%の見た目は分厚いクレープのような。たらふく頂きました。贅沢です。ご馳走さま。
そこで、鹿の背ロースを刺し身で頂きました。
もちろん、んっまい!!
Posted by sonomano at 23:38:00 | from category: | DISALLOWED (TrackBack) TrackBacks
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